観光バスの設計

従来の法律は銀行,証券,保険等の業態間の垣根が存在することを前提として単行法が乱立する業法的な縦割り規制であった。 しかし,業態間の垣根を越えた金融商品(例:証券化商品,投資信託)が続々と生じるに至って乱立する単行法(たとえば,有価証券に対する証券投資信託法,商品に対する商品ファンド法,不動産に対する不動産特定共同事業法,リース・クレジット債権に対する特定債権法が縦割り的に存在した)の間の統一性や整合性を図ることが難しくなってきた。
そこで,証券化や投資信託についても各々単行法を作るアプローチはやめ,双方に共通の「投資家から資金を集め,市場で専門家が管理・運用する」という一般的な投資スキームの機能(集団的投資)に着目し,市場横断的な規制を導入したものである。 集団的投資スキームには,「資産流動化スキーム」(特定の資産を企業本体から切り離して,そのキャッシュ・フローや資産価値を裏付けとして投資者に証券等を発行することにより流動化を図る資金調達の仕組み)と「資金運用スキーム」(投資家から集めた資金を合同して専門家が各種資産に投資運用し,その利益を投資家に配分する仕組み)の2類型があり,SPC法の改正部分は前者,証券投資信託法の改正部分は後者に該当する。
さて,今回のSPC法の改正は,現行SPC法の基本的性格は維持しつつもさまざまな改正,すなわち,@流動化対象資産を財産権一般に拡大した点,ASPCに関する規制を簡素化・合理化(例:SPC設立手続を登録制から届出制に変更,最低資本金を300万円から10万円に引下げ)したり,その他の新たな改善策(例:優先出資社員の無議決権化,転換特定社債・優先出資引受権付特定社債の発行を可能にした)を行って使い勝手をよくした点,B信託を利用した流動化の仕組みを創設した点に特徴がある。 これに伴い,法律名も「資産の流動化に関する法律」に改められた。
これまでの証券化スキームは,SPCを用いた会社型のものであったが,この度新たに創設された信託を利用した流動化の仕組みも基本的な仕組みは会社型と同じである。 すなわち,資産の原保有者が資産の管理・処分・収益分配等を信託銀行に委託し,この信託契約に基づく信託受益権を分割して受益証券として投資家に販売することで資産の流動化を図る制度である。

新法では,@信託受益権の流通性を高めるため,信託受益権を私法上および証券取引法上の有価証券とし,A投資者の権利行使関係を明確化するため,、受益権等の権利は個別には行使できず,権利者集会のみが決議により行使できる,E権利者集会は受益証券の権利者の中から代表権利者を選任して一定の権利行使を委任することができるといった集団的な権利行使に関する規定を整備している。 一般投資家が証券市場に参加する場合,投資額が少ないのでリスク分散を図ることが難しいほか,投資情報を収集したり分析する能力に乏しい点が問題になる。
そこで,多数の投資家から資金を集め(共同投資),それを投資の専門家が(専門家運用),証券市場でリスク分散を図りつつ運用し(分散投資),その運用益を各投資家に分配する投資信託(証券投資信託)が業として行われてきた。 この「共同投資」,「専門家運用」,「分散投資」が投資信託の特徴である。
まず,共同投資によって少額の資金でも大きな投資ができ,個人投資家が参加できないデリバテイブ市場や大口金融市場にも参加できるようになる。 次に,専門家運用によって個人投資家にはない専門家のリスク管理のノウハウや投資情報,事務処理インフラを利用できる。
さらに,分散投資によってリスクを軽減できる。 すなわち,投資する際,個別銘柄の社債・株式等を一点買いするよりも複数銘柄に分散して投資するほうが各銘柄の価格変動が打ち消しあうのでリスクを軽減できるわけである。
さらに,こうした分散投資が専門家運用によって上手に行われ,共同投資によって少額の資金でも行うことができるという相乗効果も期待できる。 日本で最も一般的な投資信託は投資者が受益証券を買うことによって信託契約を結ぶもの(後述する契約型投資信託)である。
この契約の当事者は,投資信託委託会社(委託者),信託銀行(受託者),投資者(受益者)の3者が基本であり(ただし,証券会社が販売会社として受益者と委託者の間に介在する場合が一般的),投資信託委託会社は多数の投資者から資産を集め,それを信託銀行に管理・保管してもらい,市場で運用するよう指図する。 市場からの収益は信託銀行を通して投資信託委託会社に行き,最終的には投資者に分配される。
投資信託委託会社は,投資者から資金を集める際,収益金を得る権利(信託受益権)を分割して受益証券として投資家に販売し,その申込金を受け取る投資信託では,預貯金とは異なり,自己責任が求められる。 すなわち,受益証券購入の際に投資信託委託会社から交付されるさまざまな書類(目論見書,運用報告書等)に目を通し,契約内容を理解した上で取引することが求められ,契約内容を理解せずに損失を被ったとしても免責されない。
しかし,その分,リスク(損失可能性)に見合ったリターン(利益)が得られる可能性があるわけであり,リスクのない預貯金よりも利子が高い。 また,投資信託は損失を被るリスクがゼロではないものの,多くの証券に分散して投資するため,投資信託商品の種類にもよるが他の投資商品に比べるとリスクが低い。
そのため,日本の1400兆円ともいわれる個人金融資産の新たな受け皿として非常に注目されてきた(ただし,思うような高配当が得られず伸び悩んでいる)。 日本では従来,個人は資産を預金で運用することが多く(1998年末で44.9%,アメリカは9.6%),有価証券(投資信託を含む)で運用することの多いアメリカとは対照的である(1998年末で37.0%,日本は11.1%)。
実際,アメリカなどでは投資信託の市場インフラがきわめて整備されているが,日本ではこれまで証券投資信託に係る規制が強かったため,十分に発達してこなかった(1998年末で個人金融資産のうち投資信託の占める割合はアメリカの10.7%に対し,日本は2.0%)。 また,ここ10年間でみると,公社債投信(公社債を運用する投資信託)の純資産総額が10兆9217億円(90年末)から39兆1467億円(99年10月末)に大幅に増加したにもかかわらず,株式投信(株式を運用する投資信託)の純資産残高は株式市場の深刻な不振の影響で35兆722億円(90年末)から13兆8075億円(99年10月末)に大幅に縮少するなど一進一退であった。

しかし最近になって,取扱い商品や窓口販売を拡大するとともに委託会社の業務も改められるなど大規模な制度改革が次々となされた結果,投資に相応しい環境が整えられつつある。 まず販売面では,従来投資信託の募集・販売形態が主として委託会社と契約を締結した指定証券会社によって行われていたのが,委託会社自身が募集を行う「直接販売」(99年10月末時点で投資信託純資産総額の5.33%)や金融機関が募集を行う「窓口販売」(99年10月末時点で投資信託純資産総額の4.56%)が開始されて販路が多様化した。


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